名雪の目覚まし時計。

祐一「あれっ?」
俺の部屋の前に見慣れた時計が一つ。
祐一「なんでこんなトコに…。」
秋子「それは名雪の仕業ですよ。」
背後から秋子さん。
秋子「名雪ったら最近祐一さんも朝寝坊するようになったから新しくするって
   きかないんですよ。」
確かに最近は遅刻が多くなった。
きっとここでの生活に慣れたせいだろう。

そういえば、名雪は一体どんな台詞をいれたんだ?
さぞかし二度寝を誘う台詞なのだろう。
…一体どんなだろう?
気になる。
秋子さんなら知ってるかもな…。
祐一「で、名雪はどんな声をいれたんですか?」
試しに聞いてみる。
秋子「朝になれば分かりますよ。おやすみなさい。」
微かに笑みを浮かべて、秋子さんは一階に降りていった。
どうやらこの家で知らないのは俺だけのようだ。
しょうがない、寝るか…。

気になって眠れない…。 そうだ。今試しに鳴らせば分かるじゃないか。

試しに鳴らしてみる
やめておく

やっぱやめた。もう真夜中だからな。
さすがに近所迷惑だろう。
それにせっかく名雪が俺のために吹き込んでくれたんだ。
朝聞いてやるのが筋ってものだろう。
というわけで、もう寝よう。
予習はいつも通り名雪に見せてもらおう。
そういや、あいつはいつ勉強してるんだ?
…まあいいか。名雪のノートは俺にとって非常に有難い。
それだけで十分だ。


翌日。


「朝〜、朝だよ〜。」
う〜ん。もう朝か…。
ぽち。
目覚ましを止める。
おかしい。
いつも通りの台詞だった。
ひょっとして俺、騙された?
どっちでもいいや。まだ眠いし。
まあいいや、寝てしまおう。

「朝〜、朝だよ〜。」
目覚ましが鳴る。この声は逆に眠くなる。
だから起きない。
「謎ジャム食べて学校行くよ〜。」
なにっ、謎ジャム!?
がばっ!
不意に飛び起きる。
…なるほど。そういうことか。
確かにこれなら一発で起きる。
…その前に止めなければ、の話だが。

祐一「しっかし、朝から謎ジャムなんて縁起の悪い…。」
秋子「おはようございます、祐一さん。朝ご飯できてますよ。」
祐一「おはようございます。」
テーブルに座る。そして目の前には…。
秋子「残さず食べてくださいね。」
祐一「……。」
どうやら今日も遅刻になりそうだ…。


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